2014年1月29日水曜日

役者の演技っていうのが戦争を拒否する

ルーマニア「シビウ国際演劇フェスティバル」『aplauze』誌掲載写真
戦争を拒否する技術ってないのか。平和利用というイヤな言葉がある。戦争の時開発された技術が平和的に利用される。
そうじゃなくて、戦争に役立たなくて平和を守り、人間の生活を豊かに刺激していく技術よね。
役者の演技っていうのが戦争を拒否する、そういう俳優技術ってないだろうかと思う訳ですよ。
非人間的な殺戮といいますかね。そういうことができない俳優術というものがないのかとー。
そういう仮説をかかげてあくせくやっていくというのがいいんじゃないかと思っている。
(2000年9月28日「ケンタウルスの会広島主催『おんにょろ盛衰記』公演」を前に行われた広渡さんの講演より)

2014年1月5日日曜日

おそろしいのは、人間の心のなかにひそんでいる魔性

女=真野季節
東京演劇アンサンブル公演
『櫻の森の満開の下』
劇は、終局ですさまじい桜吹雪をみせる。自然と人間との闘いである。この場合の自然はまた、人間の能力をはるかにこえた力、つまり超自然と人間との闘いにもつながっていく。山賊の男の相手になる美女は、その恐しい内面を、「鬼」として表現する。中世には鬼は、世にもおそろしいものとして実在したと考えられている。ほんとうは、実在しなかったかも知れない。が、おそろしいのは、人間の心のなかにひそんでいる魔性であり、その魔性をたくさんもっているものを鬼と指すと、ここに鬼が存在したというイメージが成立する。

日本の演劇様式は、古典として能・狂言・歌舞伎をもっている。その一方で、ヨーロッパ近代劇に影響された新劇がある。東京演劇アンサンブルは新劇の劇団の一つである。が、B・ブレヒトの作品の影響をつよくうけている。この延長でつくられた創作劇が、この『桜の森の満開の下』だといえる。
(「1990年公演パンフレット「イメージ豊かに人間の魔性を問う問題作」藤田洋・演劇評論家」より)
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 『櫻の森の満開の下』広島公演(東京演劇アンサンブル)
 日時 2014年4月12日(土)19時開演
           13日(日)14時開演
 会場 広島県民文化センター (中区大手町一丁目)
 料金 2,999円(自由席)